零細システム開発会社における「選択と集中」

XHTML&CSS超高速コーディング術

XHTML&CSS超高速コーディング術

池袋のジュンク堂で偶然手に取った本書。再利用性のたかいCSSのデザインやら、コツの様な話かと思ったらそういう事だけでなく、入稿からスケジュール管理まで含めた牧野工房という会社のワークフロー紹介という、一風変わった本。まあ、会社の宣伝ちゃ宣伝かもしれない。

牧野工房という会社では、通常のホームページ制作会社とは異なり、デザインは完成しているという前提で、出来上がったデザインを入稿してもらい、それをHTML+CSS に落とす、という工程に特化している。

このような特化のため、結果的に数をこなせ、社内の共通化、ルール化、ワークフロー化が進み、ますます数をこなせる、という循環が働いている。

絵に描いたようなドラッカーの「選択と集中」の実践であり、同業の参入が予想されると筆者は書いているものの、ブランド化に成功すればライバル不在になりそうな商売である。

余談だけど、私自身はこれと同様のことを零細のソフトウェア開発会社に所属するエンジニアにもたびたび見ている。(まあウチもそうなんだけど)

彼らの中には、数ヶ月以下という、非常に短期のスパンでコーディング、テストのみを10年近い歳月にわたってやり続けたものまでおり、「Eclipse でソース書いてるはずなんだけど、横で見ていて何しているのかわからない」というレベルに達している人が実在する。

彼らは設計書がなかったり、むちゃくちゃだったりしてもうまくそれを客から聞き出して形にする技術も兼ね備えていたりもするのだ。私などは関心させられることしきりなのだけど。

なかなかこういったことを強みとしてブランド化に成功している会社に出会ったことはないし、オフショア化が進む中、海外勢がこの戦略をとった場合、とんでもないレッドオーシャンに叩き込まれる可能性もなくは無いが(笑)、いくらでも差別化の方向性はあるし、ぜひどこかやってくれないかな。